真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

2021-01-01から1年間の記事一覧

捨てられないんだ

お題「捨てられないもの」 6年前の写真 どんどんどんどん捨てていこう どんどんどんどん忘れていこう そうすれば すっかり楽になりますよ そうすれば すっかり軽くなりますよ なにがあったか どこにいたか そんなことは捨てていこう どこにいたって かまわな…

ひとりきりではない

ひとりきりではない。 ひとりでいても、ひとりきりではない。 列車に揺られる。窓が開いている。 乗客は少ない。 全く、いないわけではない。 乗客は少ない。 見たことがあるような、ないような背の高い人がひとり、 こちらに背中を向けている。 何かをいい…

遠い昔の物語

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」 本を読む。 「1973年のピンボール」 村上春樹 遠い昔の物語 そして、これから。 本を読む。 本を読むことが好き。(今のところ)好きといってもそれは日常の中にはない。 だから、漸く辿りつけたこの3…

炎と水

炎の中にいた ずっと それでもよかったと思った 炎の中は 心地よかった ずっと いられるわけではないとも思った ここにいることが わからなくなるほどの気絶にはならないように 炎の中にいたが 風が吹く そして 水を浴びる 風と 水で 熱い 熱い体と心が 冷め…

諦めではないけれども、いつもと少し違うこと

諦めではないけれども、いつもと少し違うこと。 これから先のこと 。 これから、どうなるのか。 夢、希望、目的、目標、計画、そのためにすべきこと。 今までのこと。 今、現在のこと。 羨望、後悔、恐怖、痛み、苦しみ。 そんなことは、もう、ありません。…

朝になる

眠れない。 丑三つ時から新聞配達の声がする明け方まで。 凍結しました。いいえ、永久デリートしたのです。メモリーの塊。 それなのに、その欠片にアクセスしてしまいました。それはとてもいけないことです。悪いことです。悪いことをしてしまいました。悪い…

日常

きっと もしかしたら 日常なんて そう簡単に 戻ってこないのかもしれない もし そうだとしても 心 洗われる笑顔に会えると まだ だ まだ また この笑顔に会いたいと思う そして もう 逢えるはずのない人のことを思う 逢えるはずはないけれど もし まだ まだ …

少し ほんの少し

少し ほんの少し わかったような気がする (避けたい言葉だけれども) (それに代わる 合う言葉が見つからない) 世界は 重なりあっている 世界は たったひとつだけではない だから だけど 知らないままで いられない 世界は 重ならないわけにはいかない (できる…

天井

天井が ぺちゃん どすん 潰れるかと思った 低い天井 この低い天井が潰れたら わたしはぺしゃんと小さな声を上げる そのぺしゃんという声は あまりにも小さいので誰にも聞こえない そんなことは どうでもいい そんなことは どうでもいい ただ わたしの身体が…

目の前に広がる道 目の前に 道は広がっている 道が 見える 何処へ行く 何処まで行く 時間は ある もう 時間は ない 目の前に 道が見える あちらから こちらから 前から 後ろから 右から 左から いったい どうするの いったい どういうつもり くりかえし聞こ…

交差点できみを見た

交差点できみを見た きみを見かけたよ いつもの町で いつもの交差点で ここまでは きみの住んでいるところから1時間以上かかるというのに きみを見かけたよ いや ちがう きみにそっくりな人を見かけたよ 眼差し 仕草 髪質 横顔 後ろ姿 きみにそっくりな人を…

そういえば 春だったね

手放したいことと もっともっと 吸収したいこと そういえば 春だったね どんどん忘れてしまうことへの不安よりも 日々を迎える 日々を確かめる期待と希望へ ・ 君のことが好きです。ずっと、好きです。思い出すのは、決まって土曜の夜から日曜日にかけてです…

「水晶玉」

いろんな声がきこえる いろんな声があつまってくる 声をうけとめることぐらいしかできない 僕は水晶玉 明るい未来を映し出し 明るい気持ちに変えてあげる そんなことが いつしかできなくなった 水晶玉 仲間はみんな 主に見つけられ 大切にされている みんな …

約束

約束をしたら それは お守りとなり 支えとなる 笑っていましょう どんなときも 約束をしたら 空も青く 明るく 眩しく 覆いたく なっても 照らしてくれる その照らされる方へ BY 2018.02.23

恋文

なにもいえないよ すきだなんていえないよ なんて堪えられないから いつでも いうてしまうね なにがなんだかわからなくなって どこへいきたいの どこへいきたいの なにを話したらいいの その横顔をみていられるだけでいい なにも うまく話せないのに いうて…

伝えた言葉と、しばらく経って返ってきた言葉と

伝えた言葉と、しばらく経って返ってきた言葉と その時の想いと、今の想いと いくらか変わっている その当たり前のことに ぼんやりと驚く 今がいつまで続くのかと 心配で心配で仕方がなかったある時期 ずっとこのままでいたいと思ってばかりで でも きっとそ…

同じ景色を見ていない

同じ景色を見ていない 絶望の淵に沈む 同じ場所 同じ時間 同じ景色を見ていない だからこそ 一緒に 沈んでいくわけにはいかない 一緒に 沈まないように できるはず 同じ景色を見ていない だけど きっと 同じ景色を見ることができるはず たったひとつのことで…

見える

見える 見える 見えている 見えない 景色 見たくない 知らないでいたい 考えたくない 景色 静まれ 目を閉じて 耳を塞いで 何を受け取ろう 目を開けて 聞こえることに ただ 静かに

かくれんぼ

こえのするほうへいってみよう近づいたつもりが こえは やむ姿をみたいなと ずっと待っていたものだからこえのするほうへいってみよう待ってて 待ってて すぐいくからつかまえてみたいと ずっと草臥れていたものだからかくれんぼなんてしていないではやくで…

タイミング

左に行きたい理由を 書き出しても 尚 留まっているべきだったろうけれど 左に行きたい理由を ひとつひとつ確かめて 今 やっぱり行かずにはいられないのだった 夜の海の匂いを 側に行って 感じてみたいけれど 夜の海の側に行った それは主目的ではないにして…

いつでも どこかで だれかがいつでも どこかで なぜだか今日だけは ここで だれかがどこへも行かず 待っている 風の冷たさと日差しの暖かさとなにかが確かに変わったような今までと違った数字を書く日々が始まる カレンダーを捲り曜日と日付と 予定とひとつ …