真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

きょうりゅうのへや

ここは きょうりゅうのへや とても にぎやかです ずっとまえから きみがくるのをまっていました とても にぎやかです はなししていることばは ちっとも わかりません なにを はなしているの なにを はなしているの とても たのしそう あたしも まぜてほしい…

電話のにおい

Fさんへの電話 電話のにおいが受話器から 声の色と においと ほんの数分の出来事 こわいこわくない 棘が刺さっているそれは 棘ではない 抜こうとしても決して抜けない永久に背負うもの 毎月 月末になると思い出すのだろうか まるで 眠らない夜は続かないよう…

事実は そこにはない

Aさんの電話に掛けたら Aさんが出る そう思うことは 正しくなかった そう思って話し始めたことが どうにも恥ずかしかった Aさんかどうかを 確かめる間もなく 話し始めたことがショックだった よく考えてみたら 声が似ていたわけでも 雰囲気が似ていたわけで…

続けるということ

続けるということ 続けてみると いいですよ 続けてみたら わかることがありますよ その通りだと思います その通りにしてみたいと思っていました 続けることがストップしてしまったとき 続けてみたら わかることが 濁って わからなくなったとき これから どう…

踊る 眠る 踊る

朝から さわがしい (いい方の)あの人の(いい方の)ことばが目の前で踊る 踊る 踊り続ける 朝から さわがしい 自分的一大イベントがあるからだ イベントという言葉を使うと なんだか ちがって感じる おもしろいね あの人の(いい方の)ことばが目の前で踊る 踊る…

影を探して

影を探して 光 気絶しそう 背中を向けて ただ静かに 背中にいるのは わかっているのね 気絶しそう 影を探して 光の中に

捨てられないんだ

お題「捨てられないもの」 6年前の写真 どんどんどんどん捨てていこう どんどんどんどん忘れていこう そうすれば すっかり楽になりますよ そうすれば すっかり軽くなりますよ なにがあったか どこにいたか そんなことは捨てていこう どこにいたって かまわな…

ひとりきりではない

ひとりきりではない。 ひとりでいても、ひとりきりではない。 列車に揺られる。窓が開いている。 乗客は少ない。 全く、いないわけではない。 乗客は少ない。 見たことがあるような、ないような背の高い人がひとり、 こちらに背中を向けている。 何かをいい…

遠い昔の物語

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」 本を読む。 「1973年のピンボール」 村上春樹 遠い昔の物語 そして、これから。 本を読む。 本を読むことが好き。(今のところ)好きといってもそれは日常の中にはない。 だから、漸く辿りつけたこの3…

炎と水

炎の中にいた ずっと それでもよかったと思った 炎の中は 心地よかった ずっと いられるわけではないとも思った ここにいることが わからなくなるほどの気絶にはならないように 炎の中にいたが 風が吹く そして 水を浴びる 風と 水で 熱い 熱い体と心が 冷め…