真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

事実は そこにはない

Aさんの電話に掛けたら Aさんが出る

そう思うことは 正しくなかった

そう思って話し始めたことが どうにも恥ずかしかった

Aさんかどうかを 確かめる間もなく 話し始めたことがショックだった

 

よく考えてみたら

声が似ていたわけでも 

雰囲気が似ていたわけでも 全くない

すぐに 気付かなかったことが ショックだった

 

沈黙の向こうに だれかがいる

声がしていなくても 向こうに だれかがいる

それを 感じることを 忘れていた

 

一方的ではいけない

急いてばかりではいけない

時間は まだある    残り時間は 少なくはない

 

 

*****

 

9年前の今日の写真

 

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事実は そこにはない

 

電話は鳴り続ける

呼ばれ続けている