春の風に誘われたのよ なんていうのもなんだか癪で ずっと前から思っていたのよ 走って走って 走り抜けること あかりちゃんと あっという間に辿り着く だれも着いてやこれないわ 春の風に誘われたのかしら なんて認めるのも癪だから ずっと前から思っていた…
今日のあなたったらイジワルね 自分が、ひざぼん擦り傷で済んだからって あたしのこと、ほったらかしにしちゃってさ 今日のあなたったらイジワルね 自分は、ひとりその場に蹲っているからって あたしは、こけたまんま 自転車屋さんの前で あたしといっしょに…
休みの日もあなたといっしょだなんて、ちょっとねえ。 あたしのこと、そんなにすきやないんやったら、いっしょにいなくってもいいやないの。無理しなくていいわ。 あたしは、風になるのがいいの。 それがいやなら、今日、あなたと会うのはよしましょう。 な…
おもちの会があった、日のこと。 重い腰を上げて、待ち、は、ようやく、あたしをお店に連れて行ってくれた。か、か、か、かかかかか、と歩を進める度に声を上げるようになってから、数ヶ月は経ってしまいましたよ。お店の影が見えたとき、ほっと、したわ。マ…
それは1月最後の日曜のことだったさ。 こんな吹雪の日、大変ね、寒いね、たまらんね、待ち、は話しかけるけれど、あたしは無言を決め込んでいる。話すことなんて、なにもないからさあ、それに、このごろ、あたしのうたをうたってくれない。うたってくれない…
あたしの名前はあかり。紅い自転車あかり。お嬢の名前は待子。 めんどうだから、待ち、と呼ぶね。今日の待ち、はあたしをあちらこちらに連れまわしたよ。ざっと合わせて2時間。しんどいなんていわんけどね。待ち、は夕暮れ時には膝がわらったっていって大儀…