真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

No.1

 あたしの名前はあかり。紅い自転車あかり。お嬢の名前は待子。
 めんどうだから、待ち、と呼ぶね。今日の待ち、はあたしをあちらこちらに連れまわしたよ。ざっと合わせて2時間。しんどいなんていわんけどね。待ち、は夕暮れ時には膝がわらったっていって大儀そうにしていたけれど。
 「白菊」っていう中島みゆきの曲をそればかりをずっと流しながら。
 日中よりも日が暮れてからの方が走りやすいな。待ち、もそうらしい。
 日中は、とんでもない強風で待ち、はあたしの右腕をぽんぽんと叩く。早く走れ、早く速く走れって。日が暮れてからは強い風、少し落ち着いてきたよ。あかりがあたしを呼んでいるみたいだ。
 待ち、といっしょに走る。ええなあ。あしたもよろしくな。