真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

「いなくなって側にいる」

この詩を読んで、感銘を受けて、 詩を書きました。 note.com ****** 眠る前に言葉にそっと触れることができたなら お守りとして抱きしめて 穏やかな夜に 夜を穏やかに いなくなった人は もういない のではなくて りくつづきになっているどこかに いる…

「思い出のバニラアイス」

夢の中で、書いた手紙を読んでいました。とても、とびっきり楽しくて(なにも悩まずに)穏やかな時間。目が覚めて、手元になにも手紙はないけれど、声はまだ出ないけれど、穏やかな時間が確かにあったようでした。 ****** 「思い出のバニラアイス」 い…

「散る椿」

ここにあったはず きみは もう忘れたね また ここに戻る なんてない 次に咲くのは別の場所 散ったことは事実 消えない なんてことはなく 跡形はなくなっていく ひとりきりで いるわけでもなく たくさんのなかに いるわけでもなく 今日は じっと 咲いている

「雨は、もう止んでしまった」

傘が ないから 濡れてしまった 君は いないから そんなこと知られていないね 天気予報に身を預けて 雨を共に知ると思っていた 雨のことばかり考えていた 泣いてばかりいたなんて 嘘みたいだ 傘は いらないから もう 泣くのはよそう 日が暮れて ここは 真っ暗…

「歩」

少し 止まってみよう 少し だけ あっという間に 少しが過ぎたので 止まっていることを ふりはらって 歩き始める それは 後ろ向きではないですか それは どこへ進んでいるのですか どちらでも いいのです 後ろ向きに歩いていたことが 不自然になっていたとし…

「ほんとう」

きえるかくれるみえるみえないみせるみせないほんとうのことをほんの少しだけ 月がみたいみえないみえないみない 星がみたい満天の星空ほんとうが少しだけ 橋の上ずっと ここにいたい夜の中にずっと 沈んでいたい どうしてどうしても 深く もっとずっとここ…

「おわかれ」

どんなに ぼろぼろになったって かれにもらったプレゼント いつも身に付けていました かれが そばにいるみたいでね たったいまからそれも もう おわかれね 意識なんてしないで 意味なんてなんにもないから ねえ かれって どんな人 なんて 聞かれても もう お…

「いぬとがいとう」

きみは かえるところがないのかい いったい どこからやってきたんだ ここで ゆっくりするがいいよ ぼくのいたばしょは ずっとずっと とおくだったけれど もう いえがたちのきになるというので おいだされてしまいました どこへ行けばいいのか ただひとつの月…

「階段の先に」

階段を上るとそこは 2階 息を飲む デジャブでいっぱい ここで足を止めていてはいけない 次へ進む 階段を上るとそこは 3階イベントスペース これから始まるかけがえのない時間が にっこりと 笑って 待っていた ちょうど開催されていた展示が よりこれからの時…

「流れまち」

まちは いつも 顔を変えて ずっと おなじところにいるはずなのに いつも ちがうところにやってきているみたい ここには メリーゴーランドがありました ここには 観覧車がありました ふたりが であったのは このまち いちばん人気のジェットコースターもあっ…

「秋 こんにちは」

夏に 嘆くよりも もう 秋 こんにちは 雲 わらった わらった 雲 わはは 身勝手に 季節に委ねる身体と 零れる汗を 隠しながら 日差し わらった まだ 突き刺さるだろう まだ 痛いだろう 痛くても 平気さ 痛みは いつか消える いつか 飲み込んで 染み込んで 遠く…

「焦げたトースト」

そんなに焼かれたら 焦げてしまうよ そろそろ いいでしょ 美味しいときは もう過ぎたから 堪忍してよ じりじりと上昇するあつさは どこへも逃げないね 美味しいときは もう過ぎたから だれにも 食べてもらえないね だれも 食べないね トースターの中に放置さ…

ストーリー

きっと そんなことは どうでもよくて 忘れてしまえば お終いです 思い出さなければ お別れです そういうわけでもなくて きっと 会いたい 会いたくない というわけでもなくて 物語を過ぎたところにはもどせない 目の前へ 一頁一頁 進むだけ ただ そんなお話し

コンタクト

みえているこの景色は 忘れられないもんやから ああ あなたに会いたいわ 思うねん ぼうっと しとったら ずっと会われへんかったらあかんから そうや コンタクトをとろう メールはことばを選ぶのが難しい かといって 電話は 目が見合わせられないから難しい …