真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

電話のにおい

Fさんへの電話 

 

電話のにおいが受話器から

声の色と においと

ほんの数分の出来事


こわい
こわくない

 

棘が刺さっている
それは 棘ではない 
抜こうとしても決して抜けない
永久に背負うもの

 

毎月 月末になると思い出すのだろうか

まるで 眠らない夜は続かないように

悪夢は続かないように

思い出さずにはいられない

思い出さないときも もちろん ある

だけれども 思い出してしまうことは

悪夢ではない きっと

 

どんなに真っすぐに歩きたいと思っても

躓いてばかりだったり

曲がってばかりだったり

なかなか 真っすぐだけでは いられないのだから

 

 

 

 

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8年前の今日の写真

 

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