真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

「焦げたトースト」

 

そんなに焼かれたら 焦げてしまうよ

そろそろ いいでしょ

美味しいときは もう過ぎたから

堪忍してよ

じりじりと上昇するあつさは どこへも逃げないね

 

美味しいときは もう過ぎたから 

だれにも 食べてもらえないね

だれも 食べないね

トースターの中に放置されたままで 気付いたときには

真っ黒に焦げてしまったよ

 

ゴミ箱行きかしら

捨てられて

消えて

ここにあったことも 忘れられてしまう運命かしら

 

まだまだ 焼くよ

雲ひとつない空 容赦なく

焦げたら 苦くなって

身体に悪くなってしまいます

 

焦げたトースト

もっと 焼かれて

トーストだったこともわからないぐらい

焦げていく

 

身体に悪いことも

苦いことも

苦しいことも ときには必要です

だから

まだまだ 焼くよ

雲ひとつない空 容赦なく

 

夏越の祓の空に