真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

そこにわたしはいなかった

そこにわたしはいなかった

だから

なんだか とても いたたまれないので

にげだしてしまいます

 

申し訳御座いません

いたたまれなくなったわけを

ぜんぶ説明することをあきらめて

あやまったことで なんとかなると

にげだしてしまいます

 

もう少し

もう少し

 

もう少し

時間をください

そうすれば

そこにわたしはいなかったということを

受け入れることができるでしょう

そこにわたしはいなかったということを

疑問に思わず いたたまれない という感情も 受け入れることができるでしょう

 

そこにわたしはいなかった

 

時が流れていく深さは なぞることは難しくて

今この2021年から もっと前 触れる年月なんて ほんの少しだけ

 

そこにわたしはいなかった

それを みんなしっている

わたしは いなかった

そこにいた人たちの中に わたしはいなかった

そこにいた人たちの中で いま いない人たちもいる

今 どこかに いるだろう人もいる

 

そこにわたしはいなかった

にげだしたい わたしは だれ

どうして わたしは そこにいなかったの

そんなこと そんなこと どうしようもない

どうすることもできないから

 

今は ここに 私はいる

そして それを みんな知ってくれているのだろう きっと

 

きっと それだけのこと

 

そこにわたしはいなかったのは遠い遠いところの出来事のようです