多宇加世「町合わせ」を読んで
3週間ほど前、熊野文芸市場、犬と街灯ブースにて、購入。
詩集。
今迄も、何度も、見かけていたけれど、見かけていただけで手に取っていなかった。
3週間ほど前、初めて、ぱらぱらと手に取ったとき、うっとり魅了される。不思議な雰囲気にすっかりと包まれる。そして、これは、わくわくするぞ、と予感する。
詩集。
ぱたんと、開く。手で押さえなくても開いたままの状態を保つことができる。
それが、どこか、この詩集の中の町へ、町へ、私へ、と誘う。
頁を繰るごとに、いろんなにおいを感じる。もしかしたら、それはにおいというよりも、風、といった方がいいのかもしれない。
どこか寂しげかもしれないし、けれども、強く、凛としている。
頁を繰るごとに、表情が見える。とても小さく囁いていたり、笑っていたり。あるいは、少し怒っていたり。
そして、切なさが迫ってくる場面もある。その切なさは時折なつかしさでもある。ずっと浸っていたくもあるし、時々、それが苦しくもなる。ところが、頁を繰ると、驚く。やわらかな強さと、しなやかさ。
この2023年2月(手に取って、出会ったのが、今、この時期になったのだけれども)
出会えて、よかった。
つよくて、やさしい。
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