とんぼの背に乗って
「過ぎいく夏に、淋しさを感じる」と君は云う。
淋しいなんて感情、もう、遠くへ消してしまったよ。
汗を零し、髪を切り、アイスを食べて、夏が消えていく。
まだ、まだだ。
汗のことだけではなく、2日前のとんぼのことを思い出す。
わたしのまわりをぐるぐると、まわって、飛んでいた。
どんなことがあっても、
どんなことが起きても、
空は、ある。
月は満ち欠けるし、星は巡り続ける。
過ぎいく夏のことよりも、
とんぼの背に乗って、秋を確かめにいこうさ。