谷脇栗太「ペテロと犬たち」を読んで
10日前、犬と街灯 – ギャラリー+本とかのお店 に行き、購入。
掌編集。
発売開始になる前から気になってはいたものの、なかなかお店に行くことができなかった。お店に行けなくても買うことはできる、そう分かっていても、どうにかしてお店に行って『手に取って買いたい』と、心の中がぷつぷつぷつぷつ、沸騰寸前のお鍋の中のようになっていた。
漸く、行くことができたのは、昨年クリスマスの日。
想像以上に、可愛い。とてもかっこええ。凄い。痺れる。
掌編小説集であり、一つのお話しが数分で読むことができるので、初めは、ぱっと開いて、読んでいた。どれも、木洩れ日のように暖かく、胸を打つ。じんわりと染み込んでくる。優しく、丁寧に。時に、鋭く。
その中で、特に、心に染みた作品は、「群青の子」、「赤の洞窟」、「ロストステップ」
胸の中の核を、ずいずいと(だけれども、柔らかく)突いてくる。物語の中で、一色が、静かに横たわっていて、それがとても心地よく、好き。(「ロストステップ」では、一色というより、まず感じたのは、白、と、赤と桜)
そして、昨日、集中して読む(読み続ける)ことができた。1冊を通して読むと、ほろほろほろほろ、涙が止まらなくなる。
掌編小説集であるけれど、すうっと、一本の白い道に光が射しこんでいて、照らされている道と街路樹の影とを感じる。最後の、「擬海」を読み終えた時、胸が熱くなって、(読み終えることがどこか寂しくなって)始めの、「ペテロの墓穴」に、戻る。と、また少し、1回目に読んだときとは違った風に、ちくっと胸に響く。
何度も、繰り返し、読みたくなる。