糸口は、どこ
家に帰れば我が家だった。
我が家に帰ってきたのだから、間違いはないはず。家の中に、昨日買った本や一昨日の手書きの詩がある。だけど、一昨日の夜からの変化はまだ消えていない。
家に帰れば我が家だった。
昨日着ていた服、昨日持っていた鞄、一昨日いただいた芝居のチラシがある。だけど、一昨日の夜からの変化はまだ残っている。
帰る場所はどこかしら。我が家に帰ってきたはずなのに、なんだかおかしい。早く避難しなければいけない。遠くでも近くでも、いや、できるだけ、遠くがいい。
ここで、眠る。朝まで眠る。
眠ることは避難ではなく、ただ必要なこと。朝まで眠る。朝になったら起きることは、必要なこと。
シェルターに入って、しばらくそこで暮らそう。数冊の本と、ノートとペンを持って。
必要なことを数える。数える前に、数えながら、蹲っていてはいけない。
適応できなければ、それに対する手段を(目的をはっきりさせながら)考えていくより他ない。早く。早く。早く。時間が過ぎることで、変化に適応できれば、それもまた、方法なのかもしれない。