真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

「#24時の4行詩」

#24時の4行詩

一番 好きな時間が過ぎると抜け殻になって
ぬらぬらと 冬ごもり 冬 眠る
いいえ すぐにまた 好きな場所へと
駆けていく

選択のち恐怖
怒涛の恐怖
忘却せよ恐怖
次の選択の為

体はひとつ
時間はひとつ
とはいっても いつだって
心は ひとつではないからだいじょうぶ

ベルの音が
どこからか聞こえている
呼んでいるのか どうだか
わからなくても 行ってみる

非常階段の鍵を下さい
ここから早く 降りていきたいから
その鍵を持っているのは たった一人
早く 早く

知らされてなかったよ
なんて 空に投げても 知らんぷり
そうね 隙があったのね
借りた傘を広げて 帰り道

このきれいな月
見ることのなかったあの人に
教えてあげたいから
明日も 夜空を見よう

今日と明日のつなぎ目に
あちらとこちらを見渡して
鉛の足を引きずりながら
月へダイブよ

動き始めた その先に
待っているのは 何色かしら
でも どんながんじがらめだって
こっちのものよ

見つめて
解き放って
悔やんでも
もう一度だけ 見つめて