真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

ひとりで歩いていても、この光景を見たのはひとりではないね

 

ひとりで歩いていても、この光景を見たのはひとりではないね。

 

歩いているということを忘れて、波に飲み込まれてしまいそう。

しっかりとしなくては。

しっかりとしていれば、大丈夫。

 

今日のために、いっしょに歩いてくれたみたい。

あの日、あの時間、あの瞬間。

そのときは、歩く足が絡まってこけないようにするのに必死で、

一歩が小さくなってしまって、いっしょに歩いている姿を見失わないようにするのに必死。

必死な思い。だけど、それが、嬉しかった。ひとりではないという時間があるということ。こんな嘘みたいな場所に。夢みたいな場所に、ひとりではない状態でいられるということ。

今日を支えるために、あった瞬間。必死な嬉しさと、それをふいに思い出すどこかきゅっと締め付けられるような嬉しいような、だけど、遠ざかっている日々に対しては切なく、なる。

 

 

ひとりで歩いていても

 

この光景をみたのはひとりではない

ひとりでない瞬間だったことを

いまさっきのようにおもいだす

 

 

 

      

          

 

         

 

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