真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

「思い出のバニラアイス」

 

夢の中で、書いた手紙を読んでいました。とても、とびっきり楽しくて(なにも悩まずに)穏やかな時間。目が覚めて、手元になにも手紙はないけれど、声はまだ出ないけれど、穏やかな時間が確かにあったようでした。

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 「思い出のバニラアイス」

 

 いつでもどこでも手に入り食べられるけれど、誰と食べたということが夏の記憶にしがみついている。昨日、友人たちとの食事の最後に出てきたのが、バニラアイス。久しぶりに、雪子のことを思い出す。

 冬にだけ過ごす雪子は、人々が手袋やマフラーをするようになってから現れる。まだ冬は来ない。雪子はいない。

 待ちきれなくて冬にだけ過ごす雪子にどうしても会いたくなって夏に呼び出したのは、去年。一緒に行きたかった本屋などを歩き回った。楽しさの次にやってきたどうしようもない時間の中、公園で、雪子と一緒にバニラアイスを食べている瞬間、幸せに包まれる。雪子は笑った。だけど「夏、もう来ないよ」と草臥れ果てていて心の中で雪子は叫ぶ。去年冬になっても雪子は現れなかった。会いたい。今年の冬には顔を見せてほしいと勝手に夏は願っている。「バニラアイス、一緒に食べよう」と言いたくて。

 

 

 

            

 

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