3日後の雨の色
1週間が経ちました。
というのと、7日間が過ぎましたのでは、少し違う。
ようやく、ようやく、過ぎました。
長い、長い一日の後の長い長い7日間。
始まった長い、長い一日目に(正確には、その前日から)藁をも掴む気持ちで、7月の2週目の土曜日の夕方を見つめていた。ずっと、ずっと。その瞬間(2時間の間)に向けて、息を、確かに。息を続けて、いられるように、と。ただ、それだけを、願って、祈って、いた。
熱が出なくなって、咳が出なくなって、座っていられないということがなくなって。声が聞こえなくなって(と思い込みたい)、声が出ないということがなくなって、立ち眩みがするということが概ねなくなった。
目の前の状況を確かめることができていたとしても、信号待ちで自転車に寄りかかるということがなくなって、思いっきり泣いてしまいたいと日中自転車を漕ぎながら脳内いっぱいいっぱいになって、どうして、月日は過ぎていくのかと、どうして、あの瞬間で止まらなかったのかと、どうして、過去には戻れないのか、脳内で泣きじゃくる。信号は、すぐに青になる。ここに留まっているわけにはいかない。だれかが後ろから自転車で追い抜いていく。だれかが杖をついて追い抜いていく。杖もつかずに歩いている人が追い抜いていく。知った顔は、追い抜いてはくれない。
3日後の雨の色のことは考えない。雨が降り、そして、どれだけ降り続いたとしてもその瞬間が終わってしまうことは悲しいから、3日後の雨の色のことは、今は考えないでいる。
どれだけきつく雨が降ろうが降らまいが、藁をも掴む気持ちで願って、祈って、待っている日。
あの場所への思い出というよりも、わたしがわたしであるために。不思議なタイミング。泣いている(ほんとうは、しばらく、布団かぶって泣き続けていたい。そんな)場合ではない。
「よかったよ」って観てくれたね、傘寿の頃。
それが、どれほど大切なことか、16年前はあまり分かっていなかった。
小さい頃、デパートで絵本、買ってもらったね。
いつも、にこにことしていて、いつも、楽しく、話しをしていたね。
まだ、あんたはいっちゃだめ、って、いわれたから、
まだ、ここにいるね。
「よかったよ」っていってもらうように
もう少し、がんばるね。
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