真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

電話ボックス

最寄り公園は夜になると深い緑に囲まれて、大きな木もあるから、すっぽりと包まれているような気分になる。そんな森(ほんとうはほんの少しの距離なのに、長い長い道のりに感じる)のような道の入り口に電話ボックスがある。


ほぼ毎日通る公衆電話の前を、日のあるうちはそんなことも思わず、ただ前だけをみて突き進んでいるのに、夜は、四方八方見ながら、ぼやぼやと進んでいる。そして、十回のうち九回は、その電話ボックスの中に、だれかがいるように思うのだ。人影が見える。感じる。


ただ、すっと通り過ぎて、ふと振り返り、あ、やっぱりいなかったと十回のうち九回は思うけれど、思いながらも、だれからかのメッセージじゃないかと邪推して、曲がらなくてもいいところで、曲がってしまいそうになる。