真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

07/29

2016年

「感触」

この右手の温もりは偽りなのか
いつも手を繋ぐのは右手だったかそれとも

この右手の温もりはどこからきたのか
ほんとうはちがうところの温もりが
右手に移ってきただけなのかそれとも


***


1番好きな場所
ではなくて
1番心地よい場所
について   ぼんやりと考える


遠くを見つめるように
遠くのことに意識を向けて

いつか見た
あの景色を   想う


***

 

2018年

「無題」

気が動転していた日のことを
きみは気が動転していたのだから
正気に戻りなさいよ
きみは正気でいられるのだから
きみはぼくと話しをしている方がいいのだから

なんて
風が強く吹く

長い長い日々も風向きが
変わるよ
変わるね

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2020年

「ひかり」

ねえ スポットライトを当ててほしい
そっぽ向かれるのは淋しいから
ねえ 大きな声は出したくないから 小声だけど
早く 気づいてよ

舞台の真ん中に立ちたいなんて
稽古も碌にしていないのに
わたしはここにいますなんて
いうものじゃない

配役が変わりました
それに やっと気づきました
だから 頑張ります

科白がひとつあります
それに やっと気づきました
だから ひかりは ここにあったのね