真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

即興バー〜ポッケの中の○○2〜

大阪は堂山のSINGLESへ。
ここは日替わりマスターのバー。色んな想いがぎゅっと詰まっている。そんなことを考えながら、SINGLESへ向かう。由香さんが今日はマスター。到着をすると、お客さんがひとり。あら、なつかしい方じゃないの。まるで、同窓会。あと、あんな人やこんな人が来ればもっと愉快なのに、なんて一瞬脳裏をよぎるけれど、それは幻。

15分で400字(原稿用紙1枚)

お題は参加者に8つ案を出してもらって賽子を2つ転がし、出た目の2つ(同じ目が出た場合は1つ)がお題になります。

久々の緊張感。

楽しかったなあ。


そんな夜のお題は、『1、ショットグラス 2、時計』でした。
待子あかねの作品はこちら。

「ららばい waiting bar」

 短い方の針が11を指した時、君はトイレに立った。いつもと同じ、「帰らなきゃいけないんです、あたし」っていう合図。このバーから駅までは5分とかからない、ダッシュしたら3分で着いてしまう。終電車は11時53分。まだ充分時間はあるはずなのに。
 いつだって君は背伸びをしていた。お酒なんてそんなに飲めないってこと、ぼくは知っている。だけど、いつもぼくと同じお酒を頼んでいたね、今夜だってそう、メーカーズマークのロックを、同じようにショットグラス傾けて。セロリスティックにマヨネーズをつけて。
「ごめんなさい、お待たせしてしまって」そう云って君はぼくの横に戻ってきて、そして、後髪ひかれる想いで改札まで、終電車の早い地下鉄の改札まで送っていくはずだったのに。
 ぼくは一人で会計を済ました。長い方の針が40を指している。そろそろ行かなきゃ。ぼくも同じ地下鉄に乗るんだ。ぼくの横にいなくても、ぼくは君のいる家へ帰るんだ。