真夜中の看板持ち

待子あかねです。詩を書いています。白昼社より詩集『スカイランド』『スカイツリー』発売中。

昨日の話


とある地下道にて うずくまる男ひとり
数回 彼の前を通るも ずっといる
うずくまる男ひとり
看板を持っている

看板を持っている男
男ひとり ひとりまたひとりと
人々は立ち止まっていく
その看板を読んでいるのだ

訳あって***に行きたい
行きたいが先立つものがありません
お力を貸してくれませんか

例にも漏れず 待子もその看板を読んでしまった
立ち止まる人は溢れども だれひとり力を貸さない
いつから 凍える地下道にいたの いつまで 

いるの